「春の訪れを教えてくれる、それがさより」
季節の変わり目には魚介の種類も増えてきます。
昔は今のように暖房器具もないため、春の訪れには今以上に喜びを感じていたはず。
春の魚介といえば、まだいやさくらえびなど数多くありますが、江戸前といえばこのさより。
今回はさよりについて紐解いていきます。
「さよりみたいな人とは?」
透き通った身とキラキラした皮が美しいため、お造りにむいている魚です。
魚体としては、細長い光物なのでさんまなどを想像して頂けるとイメージが沸くと思います。
漢字では「細魚」や「針魚」と表現します。
そんな見た目から「えんぴつ」や「かんぬき」などと呼ばれることもあります。
中を開くとお腹(腹腔膜)が黒いのが特徴。
そんなことから「外見は美しいが腹が黒い」ということで、腹黒い人という比喩表現で使われることがあります。
「春ネタの代名詞」
江戸前寿司のイメージが強いですが、昔はこはだやさばなどと同様に酢〆にされていた名残りでもあります。
今はそのままの味を活かせるため、生で食べる事が多いです。
旬は3-5月で、三陸などの北側では初夏まで獲れます。
見た目はキラキラとした銀色ですが、味は白身魚に似ています。
身は引き締まっており、脂はほとんどなく淡白な味が特徴です。
寿司はやっぱり季節を楽しむもの。
このさよりが春の訪れを伝えてくれます。
■名前の由来
「沢に寄る」特徴から「さより」となったと言われている。
漢字では細魚、針魚などその細長い見た目から。
■主な産地
北海道から九州まで日本各地で水揚げされる。
九州以南ではほとんど獲れない。主な産地は千葉県、福井県、石川県、香川県など。
■生態
・寿命は2年ほどで大きさは30cm前後がメイン。
・危険と感じると空中をジャンプして回避する。トビウオに似ている。
・群で行動する海水魚。稀に川などの淡水に渡ることもある。
・プランクトンや海藻を食べる。
■食べ方
その見た目の美しさからお造り(刺身)で綺麗に盛られることが多い。
他には寿司ネタやお椀、てんぷら、塩焼きなど。